大昔、赤岳の神様磐長姫と、富士山の木花咲耶姫が背比べをして、赤岳の峰から富士山の頂上へ長い樋を懸け水裁判をしました。水は富士山のほうへ勢いよく下り、赤岳のほうが背が高いことがわかると、悔しがった富士の木花咲耶姫が腹を立てて赤岳の峰を蹴とばしたため、赤岳は八つの峰に分かれたそうな。日本一の山はここにあったかも・・・
梅雨半ば、予報では雷雨の可能性もある雨予報。このところ月一で参加している登山ツアー。今回は初の山小屋泊!晴れることを願って小雨の降る中バスに乗り込みます
1日目:6/27
桜平(標高1880m) →夏沢鉱泉(2050m) → オーレン小屋(2330m) → 箕冠山(2580) → 根石山荘 → 箕冠山 → オーレン小屋(泊) 約6km
少し渋滞している中央道をひた走り諏訪IC(寝ていたので定かではないが・・・)で高速をおり、唐沢鉱泉・桜台分岐までバス移動。雨は止んだよう。ここから先はバスが通れないのでタクシーに分乗して桜平を目指します。所々に待避所はあるけど車がすれ違えないような山道。車高の低い車は底を擦っちゃいますね。それでも昔に比べれば整備されて半分くらいの時間で行かれるようになったんだって。途中にはシャクナゲや山ツツジが咲いていました。桜平に到着するころにはもうお昼をまわっていました。ここには車が60台くらい止められるようになっています。公共機関は無いから車のない人は茅野駅からタクシーになるかなぁ
重い曇り空の下、夏沢鉱泉まで沢沿いの苔が綺麗な整備された林道を歩いていきます
夏沢鉱泉
桜平から30分程で到着。ここでちょっとひと休み
オーレン小屋
箕冠山(みかぶりやま)
樹林帯の中を歩いていると雨が降ってきました。ここの分岐はもちろん根石岳へ
小屋から1時間ほど歩いて、樹林帯を抜け稜線に出た途端の暴風雨。これは台風!?と思うくらいの強風です。ぼーっとしていたら飛ばされそう。ここから10分程歩けば根石岳山頂(2603)。ですが、初心者集団は根石山荘の前まで行って撤退。晴れていれば最高ですが、こんな暴風雨の経験も貴重なものです。よく稜線で遭難とかいう話もなんだか納得。山の天気は侮れません。樹林帯に戻った途端に風が遮られて別世界。濡れた路面に注意して来た道をオーレン小屋に戻ります
オーレン小屋はきれいな山小屋でした。お水も豊富でトイレも水洗だし、檜風呂もあります。シャンプーや石鹸は使えないから、かけ湯をしてつかるだけだけど、疲れが取れる。さっぱりしたら18時前にはもう晩御飯。本日のメニューは名物の桜鍋。美味しくいただきました。ご飯の後は簡単な地図読み講習で明日の予習。その後は薪ストーブの前に移動して、ネパールのお茶の飲みながら山小屋のおっさん(支配人)のお話を聞きます。何回もヒマラヤに行っていてネパールのお話をしてくれました。山小屋でもネパールの人が働いています。今年の4月に起きたネパール地震。復興を願うばかりです。さてそろそろ寝る時間。山小屋の夜は早い。9時にはもう真っ暗です
2日目:6/28
オーレン小屋 → 夏沢峠 → 硫黄岳(標高2760m) → 赤岩の頭(2656m) → オーレン小屋 → 夏沢鉱泉 →桜平 約6,5km
晴れました! 朝ごはんをしっかり食べて準備万端で出発。と言いたいところですが、実は寝不足。大部屋は自分達の団体15人位だけで1部屋だったのですが、隙間なくひかれた小さな布団に、思ったより暑い室内。寝息とかも気になって何回も目を覚ましてしまいました。こんなに大人数で寝たのは何十年ぶりだろう。今回はまた小屋に戻るので不要な荷物を置いていけるのはラクチン
夏沢峠
オーレン小屋から山道を登っていきます。樹林帯を抜けると一気に視界が開けて目の前には目指す硫黄岳が見えてきました。ここでちょっとヨガタイム。気持のいい山の空気を胸いっぱいに吸い込みます
イワウメ(イワウメ科イワウメ属)
稜線には可愛らしい高山植物がいっぱい
イワヒゲ(ツツジ科イワヒゲ属)
稜線に出て後ろを振り返ると、峰ノ松目(2567m)の麓にオーレン小屋が小さく見えます。すっかり森林限界を超えました。稜線に出るとやはり風が強い。おかげで視界は良好です
所々にケルンのある稜線を歩いていきます。斜面でちょっと一休み。奥には天狗岳も見えます
硫黄岳山頂
広ーい山頂上に到着
硫黄岳 爆裂火口
巨大な爆裂火口が口をあけています。ここに落ちたら大変だぁ。火口の脇を少し歩いてみる。風が強くて火口に近づきすぎたら落ちそうだ。ちょっと怖い
諏訪湖も見えます
こちらは横岳、赤岳に続く道。隠れるように硫黄岳山荘が見えます。こちらのルートに進むにはまだまだ修行が足りません
ミヤマシオガマ
赤岩の頭
人がいっぱいいる白っぽいところが赤岩の頭
(イワウメ科イワカガミ属)
赤岩の頭でひと休み。下りて来た硫黄岳を振り返ってみる
赤岩の頭からオレーン小屋に戻ります。樹林帯に入りました。この辺りはまだ新緑。きれいな鳥のさえずりが聞こえてきます。何の鳥だろう
標高が下がると針葉樹の森になります。この道は森林限界がよくわかりますね
オーレン小屋の前まで戻ってきました。多少のザレ場とかあったものの危ない個所はほとんどなく初心者でも楽しめるコースでした。の~んびり歩いてきてもまだ10時。早起きって素晴らしい。荷物をまとめて桜平に戻ります
沢沿いの道を下っていきます。この道は苔がとてもきれいです。でも昨日のほうが雨模様だったからもっときれいでした。苔には雨が似合います
斜面にはシロバナノヘビイチゴが群生していました。・・・この写真じゃ見えないよね
桜平からはまたタクシーで分岐まで。バスに乗り換えて帰路へ着きます。車窓からは八ヶ岳が見送ってくれました
初日は途中から雨に降られて根石岳の山頂まではいかれませんでしたが、稜線で濃霧のなか台風のような強風を体験できたのはこれからのいい経験。翌日は雨予報が外れての晴天。これはウレシイ誤算。硫黄岳からの気持ちの良い眺望。そしてたくさんの可憐なお花。キバナノコマノツメ、シロコミヤマカタバミ、オサバグサ、ツガザクラ、そしてミツバオーレン等々。とても気持ちのいい2日間でした。今回は初めての山小屋泊。朝早くから行動できるのはいいですね。梅雨の時期なのに沢山の人が訪れていました。テントをしょった山岳部の学生たち。家族連れ。ご夫婦連れ。シニアのグループ。それぞれがそれぞれのレベルで楽しめる八ヶ岳。とてもいいところでした